手術 7

「何時何分。これより手術を開始します」
こんなことを言っていたかは覚えてないが、何となく似たようなニュアンスのことを言って始まったように思う。
そして始まった直後から地獄の苦しみが幕を開けた。
まずなぜ頭がぼんやりとする程度の麻酔をするのか?
それは意識がある状態のままであえて不整脈を引き起こし電気異常を起こしている箇所を焼却するからだ。
「今動悸起きてますね?」
そんなことを確認しながら焼いていくのだからある程度は意識のある状態にしておく必要があったのだ。
そのため手術が始まってすぐに、やけに周りに人がいるなと感じていたことを納得することにもなった。
症状を引き起こすため当然苦しい。
だからどうしても体は動こうとしてしまう。
体に首2箇所、足の付け根に2箇所、管を通しているため暴れて外れるようなことがあっても困る。
そのための俺をおさえておくという人員配置でもあったのだ。
その内の一人の看護師は俺の頭上にいて頭をおさえたりしながら汗もふいてくれていた。
手術中、執刀医の汗をふくシーンはテレビなどで見たことはあったが、手術を受けている側が汗をふかれるシーンは見たことなかった。こんな形もあるんだ。。
当然といえば当然か。頭はぼんやりとしている状態でも動悸を起こされたらいつもよりは少し軽いって程度で苦しいことには変わりないため当然どんどん汗もかいた。