手術 8

何度か不整脈を引き起こし動悸を起こし電気異常を焼いていく内に先生がポツリと言った一言が聞こえてきた。
「これはかなり苦しかったと思うよ」
同じ症状をもつ患者を何人も見てきて手術を行ってきた先生が言うのだからよっぽどだったのか?
そんなことを一瞬考えたことを記憶している。
手術に要した時間は約1時間半。
その間ずっと同じことを繰り返しながら同じ苦しさを味わい続けていた。
何ヵ所焼いたのかはよく分からない。
「頑張りましたね。終わりましたよ。」
ようやく今まで起きていた電気異常のある箇所を全て焼却出来たらしい。
これでようやく解放される。とにかく手術の終わりだけを願いながら過ごしたからか、もう治った。そんな実感は全くなかった。
術後の処置をすませ、またストレッチャーへ乗せられ病室へと運ばれていく。
この時手術の疲れからか、終わったことへの安心感からかは分からないが、病室へ戻るまでのわずかな時間で眠りについていたらしい。
次に目を覚ました時には夕方で、術後もしばらく病室にいたらしい両親も成功を聞いて安心し目を覚ます前に帰ったらしい。
起きたら嫁だけがイスに座って本を読んでいた。