手術 5

手術当日。手術はたしか午前11時から行われたと思う。
当日は何も飲み食いしてはいけず、手術が終わってもしばらくは何も食べれないと聞いていたので空腹を我慢しなければいけないということが辛いかなと話を聞いている段階では思っていた。
実際はそれどころではない上、空腹を感じることは全くなかった。
前日の手術説明を聞かされていた通り、当日は手術の1時間前くらいから気持ちを落ち着ける薬が処方され、30分前くらいには麻酔ではあるが、頭がぼんやりとして痛みも和らげるのかな?そんな麻酔を打たれた。
全身麻酔などではなく、意識のある状態で手術中にわざと症状を起こしそこを焼き切っていくのだという。
かなり苦しいと思うけど頑張ってとも言われていた。

両親と嫁は手術室に入る少し前に病院に到着した。
その時はすでに麻酔も打たれ意識朦朧としているような状態の所に来たので、後から聞いた話ではうちの母親は泣いていたらしい。
息子が心臓が悪いのは自分の体が弱いせいだ。
いつか嫁にこんなことを言っていたらしい。
そんな風に思わせたくなかったから正直手術の話や病気のことなど言いたくなかったのだが、いつのまにか嫁が話していたため後の祭りだった。
とりあえずいくらか会話はかわしたのだが、頭がぼんやりしすぎて会話内容は全く覚えていない。
多分頑張ってとでも言われていたんだと思う。
手術室へ向かうためのエレベーターへと向かう。
ストレッチャーに乗せられているので乗っている間もっと緊張してくるかとも思ったが、薬の影響からかそんな緊張感もなく落ち着いていた。